親がやってきたことをやっている×生産だけではなく販売までする第4回農家訪問交流会(春)

エコ日記

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以前にも紹介した、神奈川県県央地域県政総合センターが主催している飲食店向けの農家訪問交流会(第4回-春)が3月中旬に開催されました。今回は、厚木市相川地区にあるいちご農家と、JAさがみ夢未市相川店と本店の見学、うすいファーム(あつぎ豚)との懇親会や、県産食材の試食会などがあり、県内の飲食店やクッキングスクール、NPO法人など様々な業種の方が参加し、農家の方たちと交流を図りました。

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●夢未市相川店

集合場所となった夢未市相川店は、JAあつぎが運営するファーマーズマーケットです。近隣の農家から採れたての地場食材を仕入れているので、どの野菜たちもとても新鮮でした。店内には農家さん向けの花や野菜などの種や、農機具を売っているコーナーもあり、地域の特徴が出ているつくりとなっていました。

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●親がやってきたことをやっている-今井いちご園

最初に向かった農家は、夢未市相川店から歩いてすぐの場所にある今井いちご園さんです。いちご以外にも水稲、トマト、キュウリなどの生産もしており、上記で紹介した夢未市に、年間を通じてほぼ毎日出荷しているそうです。

いちご狩りも行っており専用のビニールハウスに案内されると、入った瞬間、幸せないちごの香りの空間に包まれました。昔ながらの土耕栽培で、花粉交配用のミツバチがいちごの花に止まっている姿が、和やかで自然な気分にさせてくれます。参加者から栽培で工夫している点を聞かれると、今井さんは「親がやってきたことをやっているだけ」と話してくれました。その言葉に全てが詰まっているようで、誇りを感じ、とても格好良く感じました。いちごの苗から、今井さん本人が管理をし、とても高品質ないちごを生産している農家さんです。

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●農家というサービス業-内海いちご園

次に向かったのは、今井いちご園さんのすぐ隣にある内海いちご園さんです。こちらもトマトやキュウリなどの生産をしており同じく夢未市にも出荷しているそうです。

いちごの栽培方法は高設土耕と呼ばれるもので、台の上に土耕をつくることによって生産管理がしやすく、また、いちご全体に光を当てることができ、キレイな円錐形のいちごができるそうです。大人の腰くらいの場所にいちごができるので、もぎ取りもしやすく、車いすの方や、ご老人の方も取りやすいと好評とのこと。また、天敵農薬(害虫を食べる虫を放すことよって、農薬を減らすこと)を導入しており、安心・安全な生産が行われていました(天敵農薬は上記の今井いちご園も導入)。とてもキレイなビニールハウスで、高設土耕によるもぎ取りやすさ、その他にもビニールハウス内でのお土産用いちごの販売など、多様なお客さんに配慮が行き届いた、サービス精神のある農家さんでした。

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●生産から販売まで-うすいファーム(臼井農産)1

2つの農家さんを訪問した後は、夢未市相川店の隣にあるJAあつぎの施設で、うすいファーム代表の河野さんのお話を伺いました。うすいファームは、養豚から生産まで行っている畜産農家さんで、養豚農家の直売所「臼井農産」を経営・運営もしています。新鮮なあつぎ豚を生産しており、飼料から自分たちで作っているこだわりの農家さんです。

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●なによりも新鮮な豚肉-うすいファーム(臼井農産)2

アメリカ産などの豚肉は、農家を出荷してから1か月ほどかかって日本のスーパーなどの店頭に並ぶそうです。また国産でも1週間ほどかかるそうですが、うすいファームでは、出荷してから、なんと1日で店頭に並べることができるそうです。それは、出荷後、厚木市内にある食肉センターで畜・脱骨し、うすいファーム・上落合加工場でカットし、併設している直売所で販売をするという地産地消型の方式を取っているからだそうです。生産から販売まで市内で完結しており、それゆえ出荷調整が、そのまま在庫調整に繋がるそうです。 また、全国で生産されている豚肉は、黒豚やヨークなどが10%、その他90%は三元豚だそうで、この三元豚は、エサによって仕上がりの違いが出て来るとか。臼井農産のあつぎ豚は、自家配合の飼料を使っており、それが美味しさに繋がっているそうです。美味しい豚肉は、この飼料や血統で決まり、上、中、並、等外と豚の体重と大きさで豚のランクが決まる事情と、葛藤しながら運営をしているそうです。「昔は農家は生産だけだったが、今は生産だけで終わらなく販売までやっている」と河野さんは話してくれました。

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●試食会 うすいファームの河野さんの熱い思いを聞いたあとは、今回、訪問したいちご農家や、お話頂いたあつぎ豚、その他県内食材の試食会がありました。試食品は以下の通り、「内海いちご園のいちご」、「今井いちご園のいちご」、「臼井農産の豚肉(厚木産)」、「江戸屋養豚の豚肉(厚木産)」、「ご飯(厚木産きぬひかり)」、「厚木産トマト」、「お漬物(厚木産からし菜漬け)」、「お漬物(厚木産大根のたくあん)」、「足柄茶」。

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トマトは、10種類の様々な品種を試食し、中でも美味しかったのは、酸味と甘みがほどよい「アマルフィーの誘惑(ミディトマト)」、それからとっても小さい(大きさミニトマトの1/4)プチポンロッソ。名前が可愛らしかったり、洒落ているので、名前のセンスでトマトを買ってみるのも楽しいですね。夢未市や、わいわい市で様々な県産トマトが売っているので自分の好みのトマトを探してみてください。

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●地場農産物を使用したアイスも大人気-夢未市本店

楽しい試食会も終わり、最後は夢未市本店を見学。ウッディテイストで大きなバンガローのような店内は、天井が高く、開放感があり、気持ちよく買い物ができそうでした。

外には、地元の方に大人気の地場農産物を使用したジェラート屋さんの「ゆめみちゃんアイス」がありました。大豆味は津久井在来大豆を使用しているとのこと。夢未市では、野菜の他、先ほど紹介した豚肉や、出荷者が作ったお惣菜、自家製漬物、手作りパンやジャム、スイーツ、外では生花など様々な地場産食材を販売しています。どれも採れたての新鮮食材です。

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●美味しくて新鮮は近くに

親がやってきたことを継承しながらも、そして移りゆく時代に合せていく農家の方々。今井さんや内海さんのように、直売所に毎日出荷をしたり、うすいファームさんのように自分で直売所を運営するなど様々なやり方がありますが、どの方も美味しくて新鮮なものを届けたい。その思いに違いはないように感じた一日でした。

私たちが普段、生活している場所の実は近くに生産地があり、私たちが何気なく買っている食品が、はるか遠くから来ているということもあります。今年、農家を取り巻く環境は大きく変化しようとしている中で、私たち消費者は、美味しくて新鮮で安心・安全な食材を自分の目と頭と心で考えなければならない時代が来ているのかもしれません。私たちの選択ひとつひとつが循環可能な社会を構築することに繋がっているのではないでしょうか。

 

関連リンク: 神奈川県県央地域県政総合センター  内海いちご園

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