T字型人材が環境を変える!アジア環境人材シンポジウム~第1回環境人材育成研究交流大会

エコ日記

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アジアをはじめとする世界の発展途上国の急速な経済成長や人口増加、先進国の大規模な経済活動により、公害・健康被害、温室効果ガス排出増加、資源・食料・水需要の課題など様々な環境問題が起きています。こうした問題に対して、「経済発展」と「環境保全」を両立させ、持続可能型社会の構築、経済社会のグリーン化ができる「環境人材」を育成する動きが産学官民により始まっています。

今回は、環境人材育成のために大学・企業・行政・NPO等の産学官民連携プラットフォームとして設立された「環境人材育成コンソーシアム」(EcoLeaD)が3月12日、13日に開催した「アジア環境人材シンポジウム(環境省との共催)~第1回環境人材育成研究交流大会(一般財団法人持続性推進機構との共催)」の様子を紹介します。

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「環境人材育成コンソーシアム」は、産学官民の関係者間の交流や情報交換の場の提供、環境省との協働による大学・大学院における環境人材育成のための教育プログラム構築、環境教育関連情報の集約と提供、国際交流等の活動を通じ、高等教育機関における環境人材育成の支援を行っている組織です。今回、1日目の午前に開催されたアジア環境人材育成シンポジウムでは、学識経験者や企業経営者などによる講演があり、引き続き午後から開催された第1回環境人材育成研究交流大会では、大学、企業、行政、NPOの環境人材育成の取組事例の発表等が、2日目にかけて行われました。

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●「T字型人材」とは?

今回のシンポジウムや研究発表で多く聞いたのは「T字型人材」「Π字型人材」という言葉です。「T字型人材」とは、環境に関する分野横断的な知識に裏付けられた見識(Tの横棒の部分)に深い専門性(Tの縦棒)が備わった人材です。また「Π字型人材」は、同じく環境に関する分野横断的な知識に 裏付けられた見識に、複数の専門性が備わった人材です。環境人材は、こういった広い視野と専門性の両方を備えた人材である必要があります。それは、アジアの発展途上国、また日本でも、環境問題を取り巻く状況はその場所によって異なり、その原因構造も複雑であり、課題を解決する専門性と鳥瞰的な視野がともに必要だからです。今回発表を行った大学の環境人材育成プログラムでは、この「T字型人材」「Π字型人材」の育成が行われています。

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●「ない」ことを考察することの重要性

環境人材育成コンソーシアム代表幹事の安井至氏による基調講演の中で、「環境的に『ない』ことの判断」が将来のビジネス予測やイノベーションにつながるという言葉がありました。地球的、地域的な環境制約(人間が発生させる環境負荷とそれを受け止める地球の能力のバランス)を考えると、今までは当たり前と思っていたことが、実は将来的には保証され得ないということがわかります。これまでは「○○かもしれない」という憶測によってビジネスが行われてきましたが、「ない」ことを考察する思考パターンで、「なぜ、今○○になったのか」「今後も○○なのか」を問いかけた時、ある環境制約が原因で何かが「ない」状況が起きているならば、まさにその環境制約から新たなビジネスの可能性が読める、というのです。この「ない」ことを考察することが、とても大切なのだと感じました。

●第1回 環境人材育成研究交流大会

環境人材育成研究交流大会では、主に大学による取組の発表が行われました。アジアの発展途上地域に行って環境問題について調査研究する大学や、地元の企業で環境マネジメントの実践を行っている大学など、様々な取組が発表されました。日本各地の大学で環境人材の育成が行われています。この若き世代たちが社会に出て行くことによって、各企業、各地域、各国の中枢から環境への意識またはシステムが変わるなら、世界が大きく変化することが可能かもしれません。また、産学官民協働によってアジア、そして日本の各地で持続可能型社会の構築が少しずつ始まっています。いち早く現在の社会システムから移行していかなければならないと再認識した日となりました。

リンク:環境人材育成コンソーシアム <http://www.eco-lead.jp

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