漁師は優しく度胸がある!夏休みの地引網体験学習

エコ日記

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7月25日、藤沢市内の親子を対象とした地曳網体験学習イベント「藤沢の漁業を体験して、地場産の食の安全を知る」が堀川網さんの協力のもと藤沢市農業水産課によって鵠沼海岸で行われました。夏本番の眩しい太陽のもと、120名ほどの親子が参加し、地曳網体験、タタミイワシ作り体験、釜揚げしらす作りの実演、ビーチクリーンなどが行われ、海や地場産食材を知る素敵なイベントとなっていました。

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●気候変動で海水温が変わった!?

最初に今回のイベントに協力してくれた堀川網の葉山一郎さん(以後、葉山さん)より、お話がありました。「気候の変化で、例年より浅瀬の水温が低くて魚が居ない。それと4月がピークのしらす漁が7月に入ってから大漁になっている」と、昨今の気候の変化で海水温度も変化し魚たちの様子も変わってきていることを教えてくれました。また、夏休みを迎えた子どもたちに「低気圧が来たら海に入らないこと、見た目は大丈夫そうでも、100回に1回大きな波が来るからね。安全に夏休みを過ごしてください」と海を知りつくした漁師ならではのアドバイスがありました。

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●地曳網スタート

今回の地曳網は、800メートルの網を水深10メートルの場所に仕掛けて、魚がひっかかる最後の仕掛けの部分まで重機などを使って総勢10名ほどの漁師さんたちが引き揚げます。最後の仕掛けの部分が浜辺まで来たら子どもたちの出番です。左右2本の網それぞれに分かれて、網を波打ち際から陸へと引き上げて、また波打ち際に戻ってと、一人一人が波打ち際から陸へと変わり番子に網を引き揚げていきます。20分ほど皆で引き上げると、魚がたくさん入った仕掛けの部分が見えてきました。

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●とれた魚たちの紹介

網を引き揚げ終わると、漁師さんたちが、獲れたばかりの魚たちをバケツに入れて、浜辺に持って来てくれました。ピチピチの魚に子どもたちは大興奮。まだ元気にバケツの中を泳ぐ魚を手ですくったり、眺めたりしていました。その後、葉山さんが獲れた魚の紹介をしてくれました。「これは、何かな?」と子どもたちに問いかけると子どもたちはいっせいに答えていました。アジ、イカ、キス、フグ、アブラコダイ、ホウボウなど、その魚の生態や食べ方を教えてくれました。中でも、ホトゲザメというサメには皆、興味津々。お刺身にすると美味しいとのこと。

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●タタミイワシ作り体験

地曳網が終わると、タタミイワシ作りの体験がありました。専用の木枠に生しらすを入れて、すだれの上に一気にひっくり返します。漁師さんたちが手とり足とり教えてくれていました。失敗したら、もう一度しらすを木枠にしらすを入れ直して再チャレンジ。パカッと木枠をすだれに押し当てると、真四角の木枠にかたどられたしらすが、子どもたちの手によって、すだれにたくさん並んでいきました。

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●釜揚げしらすの実演

タタミイワシを作った後は、釜揚げしらすの実演を間近で体験しました。沸騰した大きな釜に塩を入れてから、しらすを入れ軽くかき混ぜながらゆでていきます。しらすが浮いてくるとすくいあげて、網に並べ天日干しにするそうです。漁師さんたちの計らいで、ゆで立ての釜揚げしらすをいただくことができました。ふっくらとしていて、絶妙な塩加減でとても美味しかったです。湘南のしらすは無添加なので、獲れる月によって色が変わるそうです。

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●贅沢な特製ランチ

先ほどの出来あがったばかりの釜揚げしらす、当日の早朝に上がったばかりの生しらす、きすなどの天ぷら、生しらす入りの味噌汁が参加者たちに振舞われました。地場産の獲れたて食材のごはんは、どれも絶品。「おいしい!おかわり!」と味噌汁や釜揚げしらすを、おかわりをする子どもたちがたくさんいました。

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●みんなでビーチクリーン

美味しく湘南産の特製ランチをいただいた後は、皆でビーチクリーンを行いました。20分ほど行うと、ビニールにたくさんのごみを集めた親子たちが戻ってきました。

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●漁師の良いところ?

最後に、葉山さんへの質問コーナーがあり「漁師さんの良いところは何ですか?」と参加者の子どもから質問があると「漁師は、優しくて、度胸がある。自然を相手にしているからね」と答えがありました。 今となっては、なかなか体感する機会が少なくなってしまった第一次産業が藤沢にはたくさんあります。「生きる」ための一番初歩的なことを思い出させてくれるイベントでした。

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●追記:旧道、鵠沼海岸線

今回の地曳網に協力していた堀川網さんは、300年の歴史を持った綱元です。店舗兼作業場は、本鵠沼駅から徒歩5分ほどの場所にあります。ずいぶん海から遠い場所に店舗があると不思議に思っていたら、堀川網の女将さんが、「昔は、この店から海の間には何もなかったのよ。沼地や水田が広がっていたと先代から聞いたことがあるわ。だから、ここで寝ていても波の立つ音が聞こえたの」と教えてくれました。そんな話しをしながら集合場所を間違え、店舗の方に行ってしまった私を、車に乗っけて、鵠沼海岸線(藤沢警察署から鵠沼海岸を結ぶ道)から一本、片瀬側に入った旧道を使って、海へと女将さんが連れていってくれました。

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旧道はくねくねと曲がっていて、きっと何十年前かは、この道の左右には水田が広がり、目の前は相模湾や江ノ島が見えたのかと想像しながら車に揺られました。

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