真夏の太陽が降り注ぐ7月下旬。六会にある、日本大学生物資源科学部で湘南エコウェーブ主催のイベント「湘南エコウェーブ～みんなで森を知ろう」が行われました。講師に、日本大学生物資源科学部教授の井上公基さん（以後、井上教授）、准教授の田原和夏さん（以後、田原先生）をお呼びし、同大学が六会に保有している演習林の中を湘南に住む子どもたちと探検しました。日大のお兄さんやお姉さんも一緒に森の中を歩いて、くち木の中や、水辺の生物たちの観察をしました。今回は、藤沢に残っているこの森の様子を紹介します。

●森のおはなし

まず始めに大学内の教室で、森についてのお話を田原先生がしてくれました。テーマは、「樹木は何を食べて大きくなる？」でした。「葉っぱが太陽の力を借りてCO2を取りこむんだよ、CO2というのは…」と田原先生が会場の子どもたちに投げかけると、子どもたちは、「CO2わかるよ！二酸化炭素だよ！」と元気に答えが返ってきました。また、「木は根っこからも養分というのを食べているんだよ、養分は、キノコや虫たちが倒木や落ち葉を食べてくれると生み出されるんだよ」と話しを続ける田原先生。自然界が様々な生物や植物同士が循環して生態系を保っていることを可愛いイラストを使ったスライドで分かりやすく紹介していました。

●森の中は涼しい！

森のお話を聞いた後は、いざ森の中へと出発です。虫よけスプレーをたっぷりかけてもらった子どもたちは、大学に隣接している演習林へと向かいました。真夏日だった当日ですが、井上教授が「森の外の気温は33度だったけど、この森の中は30度だよ」と温度計で子どもたちに教えていました。湿度は若干森の外の方が低いそうですが、温度の低さと緑のなか特有の新鮮な空気によって、都会の熱気から開放してくれました。

●くち木の中に何がいるかな？

森の中では、最初に、くち木を砕いて隠れている虫を探しました。プラスティックハンマーで、柔らかくなったくち木を叩くと、ボロボロと砕けて中から隠れていた虫たちが出てきました。クワガタにゲジゲジ、シロアリ、長～いミミズと、どんどん出て来る虫たちに子どもたちは大興奮でした。日大のお兄さんが、かたいくち木はノコギリで割ってくれました。そこには、クワガタの卵、クワガタの幼虫などがいました。この虫たちによって、倒木などは、ほぐされていき、次世代の樹木たちの栄養分となるのですね。

●小川の中に何がいるかな？

次に向かったのは、演習林の中を流れる小さな川です。この川の上流にはホタルもいるそうで、とてもキレイな川でした。サワガニ、ヤゴなど沢山の生物がここにもいました。中でもビックリしたのは川エビです。川エビやサワガニを捕まえるために川の中に入って泥だらけになる子どもたち。自然や生物を肌で感じられるこの場所は、藤沢の宝の一つですね。

●森の役割はなんだろう？

森には様々な役割があります。針葉樹や広葉樹、低木など、様々な木々が集まっていること。そして、その木々たちによって気温が下げること。温暖化が進む中で、緑一つ一つがとても大切になっています。それにもう一つは、緑や森は、子どもたちが生物や植物について勉強できる場所だということ。頭ではわかっていても、私たちが吸っている酸素や、使っている様々なものは森の営みによって生み出されているものだと改めて感じ直しました。

●夏の思い出

森の探検が一通り終わると、教室に戻って、日本大学の皆さんから年輪が分かる木の断片のコースターをプレゼントされました。「CO2を詰め込んだ木のコースターです。これを長く使ってもらえれば、ここに貯め込んだCO2が外に出ないから大切にしてください」と井上教授から説明がありました。たくさんの生物に会った夏の思い出は、夏休みの宿題に活かせそうですね。虫さされが少しかゆいけど、やっぱり子どもは外で遊ばないと、と思った一日でした。

●追記！湘南エコウェーブとは？

今回のイベントを主催した、湘南エコウェーブは、地球温暖化防止を地域から実践するために藤沢市・茅ヶ崎市・寒川町の2市1町の広域連携をし、2008年11月に立ち上げたプロジェクトです。これまでにも、EV（電気自動車）を合同導入や、EVの試乗会、桜の植林など様々なエコな企画をしてきました。下記の関連記事の中にそれらを取材したものがありますので、是非ご覧ください。

関連リンク： 日本大学生物資源科学部 日本大学　演習林 湘南エコウェーブ（湘南広域都市行政協議会）