地元の食べ物を給食に!藤沢市地産地消レシピコンテスト
エコ日記家族で夏休みに考えたレシピたちです
11月7日、長後市民センターで市内小学校5年生を対象にした「藤沢市地産地消レシピコンテスト」の最終審査会が開催されました。このレシピコンテストは、地域食材を農業、商業、学校が連携してPRし地産地消を進めるために、NPO法人地域魅力と藤沢市農業水産課との協働事業「農商校連携‐地域食材理解推進事業」で行われたものです。
優秀作品は、市内小学校の給食の献立に採用されます。この地産地消レシピコンテストを通して、藤沢の食材と、藤沢こどもシェフたちの元気な笑顔をお伝えします。
藤沢の食材の魅力をたっぷり詰め込んで作った冊子
梅雨明けしたばかりの夏休み前、市内小学校5年生の手元にレシピコンテストの応募用紙と一緒に「藤沢の食材もの知りブック」が届けられました。この「藤沢の食材もの知りブック」は市内で生産されている農・水産物を紹介している冊子で、生産者の思いやこだわりに迫るインタビューや、どんな食材がどこで生産されているかがわかる藤沢の食材地図、クイズ方式で食材について知ることのできる「めざせ!ハカセ!」など、かわいいイラストで小学生が理解しやすいように、工夫をこらして作られています。小学生は、この冊子で藤沢産の食材について学び好きな食材を選んで、夏休みの自由研究として給食用のレシピを考案しました。
緊張した面持ちで作ったレシピを説明するこどもシェフ
夏休みが明けて集められた応募作品に対して第一次審査が行われ、給食メニューとして実現できるよう加熱レシピかどうか、地場産品が使われているかどうかなどの観点から、9組のアイデアが選考されました。
第一次審査を通過したレシピの考案者である子どもたちは、市内の農地や漁港をめぐる見学ツアーに参加し、実際に野菜が作られているところを見たり、生産者のお話をうかがったり、収穫を体験したりしました。(農業水産課や藤沢市地方卸売市場では、一般の市民が参加できる見学ツアーが年に数回実施されています。) この日は100%藤沢産の食材が用意されました
そしていよいよ最終審査の日。会場となった長後公民館にはレシピを考案した子どもたちが、お母さんやお父さん、おばあちゃんと一緒に会場にやってきました。この日はレシピを考えてくれた子どもたちを「こどもシェフ」と呼ぶことにしました。開会式が行われ、「こどもシェフ」たちは「一生懸命につくります」と意気込みを舞台で話し、いよいよレシピコンテスト最終審査が始まります。
慣れた手つきで調理を進めるこどもシェフ
大人顔負けの包丁さばきを見せる「こどもシェフ」たちによって、調理室はあっという間においしい匂いでいっぱいになり始めました。この日ばかりは、お母さんやお父さんは「こどもシェフ」のアシスタント。息の合った連携プレーでみるみる料理の工程が進んでいきました。普段から一緒に料理を作ったり、お母さんお父さんのお手伝いをしていることが、どの親子を見てもわかりました。
審査員の遊佐さんに質問を受けるこどもシェフ
作業が進むにつれて、熱気を増してきた調理室は、まるで料理対決番組のスタジオにいるようでした。tvkや、レディオ湘南、地域情報誌フジマニやJAさがみなど、たくさんいた取材陣も、目の前でできていく料理にくぎ付けで、「早く食べたい」「おいしそう~」と言いながら「こどもシェフ」たちに料理についての質問をしていました。気がつけば、調理室は笑顔でいっぱい。地域のものを家族で考えて美味しい料理を作る、昔は当たり前だったことかもしれませんが、なぜか早くも心が温まってきてしまいました。
最後まで味のチェック、みんな真剣なまなざし 調理も終盤になるにつれて、最後の味付けをチェックし始める「こどもシェフ」たち。お母さん、お父さんに「どうかな~」と聞きながら、完成に近づいていきました。
調理開始から1時間半(この時間は給食を作るときの時間と同じ)、すべての「こどもシェフ」たちの料理が完成されました。最終審査員が待つ別室には、次々に、できたての「こどもシェフ」たちの作品が運び込まれてきました。 審査員室に集まった作品 最終審査は、日本料理の重鎮でもありホテルコンチネンタル「春庵」の総料理長を務めていた春田昌廣さんや、料理漫画家のビッグ錠さん、プロライフセーバーの遊佐雅美さんなどの市内在住著名人や、学校給食会栄養士などによって、見た目・味・栄養バランスなどさまざまな観点から評価が行われました。「素晴らしい作品ばかりで本当に選ぶのが難しい」と話すのは春田昌廣さん。春田昌廣さんは、第一次から審査に携わり、一次審査を通過できなかった子どもたち全員にもコメントを書いてくださいました。今回の最終審査をとても楽しみしてくれていて、いくつかのレシピについては、春田さん自ら事前に作られてみたりもしたそうです。
最優秀賞を受賞した高谷小学校の伊丹静さん
審査はとても難航し、予定時刻を少しオーバーして表彰式が行われました。各審査員から講評があり、みんなで記念撮影をして、最終審査会は閉幕しました。優秀賞に選ばれたのは、「チンゲン菜ときゅうりの甘酢あんかけ」「重ね焼」。そして最優秀賞に選ばれたのは高谷小学校の伊丹静さんが考案した「バランスばっちり豆乳スープ」が輝きました。他に、アイデア賞やイベント賞、ポパイ賞やらお祭り賞、団らん賞など各賞も決まりました。最優秀賞のレシピに関しては来年度の給食の献立になる予定です。その他のレシピにおいても、小学校を限定して献立になる可能性もあるとのことでした。
来年の給食の献立に仲間入りします
伊丹さんの「バランスばっちり豆乳スープ」を作ろうと思ったきっかけは「兄が牛乳アレルギーなので、牛乳を使わなくてもおいしいスープを作ろうと思った」と心温まるエピソードでした。その他の作品も「おばあちゃんが畑で大きなキュウリを採ってきたから何か作ろうと思った」と話す佐藤龍之介くん(辻堂小学校)が考えたのは「きゅうり汁」。今回集まった「こどもシェフ」の作品は地域食材を使うと同時に家族の絆がつくった作品でもありました。地産地消を促し、家族も一緒になって何かを作る、そしてその作品が地域に還元される…、食を通じて、子どもたちと農水産業、地域が元気になり繋がれる素敵なイベントとなりました。
来年度のレシピコンテストは、給食の献立以外にも、市内のレストランのメニューとして優秀レシピが採用されることも検討されています。藤沢の新たな試み「藤沢市地産地消レシピコンテスト」から素敵な作品が続々と出てくるのが、今から待ち遠しいばかりです。
みんな笑顔でコンテストを終えました