鮭寿想帰◇鮭は寿の想いをよせて帰り来る-2009年・引地川と境川を鮭が遡上

エコ日記

2009年11月3日・引地川山田橋下流にて撮影

●藤沢の川にサケがやって来た

2009年11月初頭、藤沢市の環境部の方から電話でサケの情報をいただきました。10月の終わりごろから引地川での複数個体のサケの目撃情報が寄せられているとの内容だったため、早速、カメラと双眼鏡を手に現地に出かけました。 11月2日、3日の両日、石川岡田橋付近から石川堰にかけての間で複数のサケを確認できました。11月3日には山田橋下流(一色川合流点の上流側)でシロザケ (写真)を確認しました。

下和泉橋でサケを見守る人々

●相模湾に注ぐ各河川にサケが遡上

同時期には境川を遡上するサケも確認されていました。境川支流の和泉川では産卵行動も観察できました。このほか、相模湾に注ぐ各河川でサケの遡上が見られました。 これら一連のサケ遡上の原因については諸説ありますが、海流の一時的な変化によるとする説が最も有力であると見られています。 親潮からの冷水流入とともにサケも迷い込んできたと考えられています。

11月8日・下和泉橋/前がオス、後がメス 

いずれにしても、思いがけず鮭の産卵行動が観察できた楽しい出来事でした。普段、藤沢周辺では見ることのできないサケを双眼鏡でじっくりと観察できました。 和泉川は川幅が狭く、数匹のサケが常に同じ場所に留まっていたため観察もしやすく、週末になるとサケを見守る多くの人たちが訪れていました。 ちなみに、新聞各紙に掲載された記事にはオス、メス2匹ずつ、計4匹のサケがいたことになっていますが、私の観察によるとメスのサケは3匹確認できました。

11月7日・下和泉橋/産卵床の上に留まるメス 

引地川は川幅もありサケを捜すのも一苦労という状況でしたが、和泉川ではメスのサケが産卵準備のために尾ビレで川底を整え、整えた産卵床の上に留まりオスを待つ様子が至近距離で観察できました。また、サケの身体の傷の様子などの違いを観察することにより個体識別も可能でした。

11月15日・下和泉橋/オスと思われる個体 

この個体は数日後下流で死んでいるのが確認され回収されました。現在は研究用として境川遊水地公園情報センターで冷凍保存されています。 産卵が川で行われ孵化後海に下り、生活の大部分を海で過ごし、再び産卵のため川に戻ってくることを「遡河回遊(そかかいゆう)」といいます。サケは代表的な遡河回遊をする魚です。サケたちは産卵を終えると一生を終えますがその屍は森の栄養に変わることが知られています。サケは海の栄養分を、川を通じて陸地に運ぶ役割も担っています。

11月7日・下和泉橋/既に産卵後と思われるメス 

「緑なす山間の渓流に清遊する鮭を見て百寿近づき重ねて想う鮭寿想帰。鮭は生まれた川に寿の想いをよせて帰ってくる。鮭は大海に出て大成しても育った川を忘れない。鮭の一生は帰巣の旅の繰り返しである。人間の愛情もかくの如くであってほしいものだ。」とは北村西望翁の言葉。 『鮭寿想帰』は書道家である私の母愛用のブロンズ製文鎮。『長崎市原爆中心地建立平和祈念神像』を代表作に持つ彫刻家“北村西望”晩年の作。

北村 西望(きたむら せいぼう)1884年~1987年(104歳没)/文化勲章、文化功労者顕彰、紺綬褒章受章。

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