雨後の亀拾い◇大庭遊水地の亀騒動-深刻化する外来種問題
エコ日記10月8日・台風18号通過直後の“大庭遊水地”
2009年10月8日未明に台風18号が通過。
同日12時ごろ 引地川・大庭遊水地の浸水状況を確認に出かけました。今回の台風では、引地川本流から、川の水が越流堤を越えた形跡はありませんでしたが、遊水地内に降った雨によりサッカー場の芝生は冠水したようです。 私が到着した時点では遊水地の水門から引地川に向かって溜まった水が勢いよく流れ出しているところで、サッカー場と自然ゾーンの中央にある通路は浅い水溜り状態となっていました。 今回はこの通路でたくさんの小亀が発見され騒動となりました。
冠水した通路で遊ぶ孵化直後のカミツキガメ
カミツキガメは「特定外来生物による生態系等に係る被害の防止に関する法律」略称・外来生物法 において「特定外来生物」に指定されています。 2000年ごろから大庭遊水地では繁殖の可能性が指摘されていましたが、今回の確認はこれを裏付けるものとなりました。 「特定外来生物」には飼育・栽培・移動・所持等に厳しい法的制限があります。 もし、カミツキガメを発見した場合は、市内であれば、市役所の「公園みどり課」までご連絡ください。
電話番号/0466(25)1111
写真の通路で回収した小亀・大半がカミツキガメ
発見した15匹の子亀のうち13匹がカミツキガメ、1匹がクサガメ(在来種)、1匹がハナガメ(要注意外来生物)の小亀と思われる個体でした。ハナガメはクサガメとの間で雑種が生じる可能性が指摘されている種です。
現在、藤沢市内で確認されている「特定外来生物」は以下の種類です。
アライグマ、クリハラリス(タイワンリス)、カミツキガメ、ウシガエル、オオクチバス、ブルーギル、カダヤシ、オオキンケイギク、アレチウリ、オオフサモ、アゾラ・クリスタータなど。
台風一過の大庭遊水地・園内通路をアユが泳ぐ
大雨が降り敷地内から水が引いていく時点の「大庭遊水地」は非常に興味深い場所に変わっています。普段水の無い通路や芝生、駐車場が浅い池に変わっていて、その場所で魚などの水の中の生きものが観察できるのです。 この日は、通路を泳ぎ回る数匹の大きなアユが観察できました。過去にはギンブナやコイ、メダカなどが水溜りに取り残されていた場面に遭遇しています。これらの生きものは水が引いたあとは多くの場合、サギ類など野鳥の胃袋に収まることになります。
【ご注意】増水時の河川・遊水地は大変危険です。水が引き安全な状態が確認されるまで立ち入りはご遠慮ください。
「特定外来生物」指定種“オオキンケイギク”
藤沢市内にはカミツキガメのほかにも多くの「特定外来生物」に指定された動植物が生息していて、在来種にとっての脅威になっています。ひとたび侵入し定着してしまうと取り除くことは困難で、生態系にも多大な影響を及ぼし続けることになります。写真の「オオキンケイギク」も外来生物法 において特定外来生物に指定されています。写真は本年6月26日に目久尻川の河畔で撮影しました。 本種が国内に定着した原因としては、かつて行政などが緑化施策として行っていた“ワイルドフラワー”や“種子の吹きつけ工法”などがあげられています。
カワニナと同じ水路で見られるタイワンシジミ
外来生物法では法的な規制のない「要注意外来生物」というカテゴリーがあり、「特定外来生物」と同様に生態系への影響が懸念されています。 藤沢市内では、アメリカザリガニ、アカミミガメ、ハナガメ、アカボシゴマダラ、タイワンシジミなどの動物種が確認されています。植物種も多数確認されています。
タイワンシジミは現在では市内の河川流域のほとんどで確認されている外来種の二枚貝で、在来種に遺伝的汚染を与える種として注目されています。ホタルの野外養殖が分布を拡大した一因と言われている外来種です。 引地川・石川堰から石川・大庭方面の水田に水を送る農業用水路にはたくさんのタイワンシジミが生息しています。流れの底の砂をひとすくいするとカワニナに混じりたくさんのタイワンシジミが網に入ります。
●外来の生きものたちはもともと人間側の都合で持ち込まれたものです。彼らに罪は無く責任は人間側にあることを真剣に考えていかなければなりません。