カワトンボよ 永遠に!~谷戸ごとに異なる形態 -保全が急がれる市内三大谷戸

エコ日記

カワトンボのオス/2009.05.31/石川丸山谷戸 

川の最上流部のきれいな流れに棲むトンボ。現在、藤沢では谷戸でのみ生息が確認されている。

オスの翅には無色型と橙色型があり、川名清水谷戸などでは両方のタイプが出現するが、石川丸山谷戸では無色型しか現れない。 オスに橙色型が全く現れないことは石川丸山個体群の大きな特徴で、これは他の生息地から隔絶されて既に相当な時間が経っていることを示している。 メスの翅は無色。  

5月31日(日)石川丸山谷戸の復元田で「丸山谷戸援農クラブ」の方々による田植えが行われました。今年はうるち米、赤米、黒米などが植えつけられました。同地では5年ほど前から長年休耕田となっていた場所の復田作業が行われています。 この季節を代表する谷戸の生きものがカワトンボです。  

「カワトンボ類のオスは橙色型と無色型で繁殖戦略が違うことが知られています。橙色型は開けた場所で縄張りをつくり静止してメスを待つのに対して、無色型は縄張りをつくらず水辺を飛び交いながらメスを探します。そのため、石川のように開けた場所の少ない細い流れでは、無色型がどうしても有利になり、戦略的に不利だった橙色型はやがて消えてしまったのではないでしょうか。」小口岳史さん 見事なカモフラージュです。

ツチガエルも石川丸山谷戸を代表する生きものです。藤沢でこのカエルが確実に見られるのは今ではここだけのようです。 このほか、シュレーゲルアオガエル、アズマヒキガエル、ニホンアマガエルが生息しています。 石川丸山谷戸にも初夏の爽やかな風が吹き始めています。市内三大谷戸のうち遠藤笹窪谷では1990年代の中ごろ、谷戸の埋め立てと水路の改変が行われました。カワトンボはそれ以降確認できなくなりました。 ホタルのように目立つ生きものに注目が集まりがちですが、谷戸ごとの自然誌的な特徴を受け継ぐトンボやカエルなどの存在にも目を向けていきたいものです。

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