刻々と移り変わる都市周辺の自然情報を記録したい-市民電子会議室で自然観察(1)
エコ日記2004年、引地川初記録となった「アユカケ」。水のきれいな清流を好む。
学芸員不在…自然の情報が蓄積されない
今回は、WEB博物館誕生、のお話です。 藤沢市が環境基本条例を策定し、環境基本計画を検討していた頃のお話です。 筆者は検討会や審議会の委員として、約3年の間、条例と基本計画、両方の誕生に関わらせていただきました。この間に痛感させられたのが、藤沢市が自然博物館を持たず、行政の中に自然系の学芸員が一人もいない都市だという事でした。
「大庭遊水地の環境なら定着できて不思議はない」という。
このことは、刻々と移り変わる都市周辺の自然環境の情報が、藤沢市においては、全く記録されていないということであり、市が、環境基本計画などの重要施策を検討する際などに、基礎となりうるデータがまったく存在していないことを意味していたのです。 それでも、みどり行政の担当課には自然保護担当の職員もおり、教育機関や多くの市民などと連携を取りながら、博物館が持つ役割を補うための努力は続けられていたのですが、担当者の異動などにより状況は不安定でした。 (2008年1月)
WEB版『ふじさわ自然通信』の誕生
「藤沢市市民電子会議室」は、1997年2月に、藤沢市によりインターネット上に設置され運用が開始された、電子会議室機能とメーリングリスト機能を併せ持つコミュニティー・ツールです。 個々の会議室には、発言の編集を行う機能、共有フォルダを設置する機能、ホームページを設置する機能などが付加されており、個々の発言には画像を添付することができます。
遠藤笹窪谷で自然観察会をする「大庭自然探偵団」(2008年1月)
ヒラテナガエビ、ミナミテナガエビなどを確認。
2000年2月、筆者を中心とするグループは、藤沢市を中心としたエリアの身近な自然の情報を蓄積することを目的として、藤沢市市民電子会議室の市民エリア内に、WEB版『ふじさわ自然通信』を開設しました。その後、2001年10月には写真専門の別館として《WEB版◆藤沢サンクチュアリ》を開設しました。 私たちには、藤沢市において、ほとんど蓄積されていない身近な自然に関する一次情報をアーカイブしようと考えました。また、多くの市民の方々に、藤沢の自然の素晴らしさを知っていただきたいという思いもありました。
2つの会議室に投稿された写真を活用したパネルを作成。
開設後、運用を開始してみると、さまざまな活用方法が工夫され、また、ネット上の発言のやり取りによる交流と観察会などの直接交流を通じたコミュニティーが自然に形成されていきました。