藤沢にも牛がいた!-地産地消で育ち、味わう、健康な牛肉と生産者の思い

肉の旨みたっぷりの「やまゆり牛」

肉の旨みたっぷりの「やまゆり牛」

●藤沢にも牛がいた!
 藤沢産の牛肉を食べたことがありますか?豚肉に比べてもまだまだ知られていない、いわば“藤沢牛”を味わう集まりが御所見で行われました。県にも認定されている藤沢の畜産物といえばやはり豚肉の「やまゆりポーク」が有名ですが、「やまゆり牛」というブランド牛も県内で生産されているのです。その中でも、市内で作られている「やまゆり牛」を、地元藤沢を中心としたたくさんの人々に、どのようにPRしていくかということを検討するべく、JAさがみの主催のもと、試食検討会が開催されたのでした。
 「やまゆり牛」とは、和牛とホルスタイン種(乳用牛)の中間の品種で、和牛の上質な風味を持ちながら、ホルスタイン種に近い手頃な価格での提供が可能な、私たち消費者にとってはとても魅力的な牛肉。藤沢市でも、年間約450頭が生産、出荷されているのだそうです。

 
 
 
 
 
 
 

知名度の低さをどう改善するかが、問題点

知名度の低さをどう改善するかが、問題点

●「やまゆり牛」は何を食べて育つ?
 この日の試食検討会には、JA関係者、市の農水課職員、NPOなどが集まりました。知名度の低さが問題として指摘される中で、バーベキューの網で焼いた肉を試食した感想は「とてもおいしい」「肉の旨みがある」という、絶賛にも近いコメントが多く出されました。この味を出すために工夫を凝らされているのが、飼料であるとのこと。「やまゆり牛」には、市販の配合飼料を使わず、海藻やビールかす、もろこし、糖蜜、おからなど、自然由来の栄養が豊富なものを使っているとのことです。これらの飼料も一つひとつ見せていただきましたが、すべて、人間が食べても大丈夫だとのこと…。おそるおそる飼料をつまんで口にすると、糖蜜やもろこしにはほんのりと甘い風味がただよい、ビールかすには香ばしさがありました。人もそのまま口にできる、風味豊かな(?)飼料ばかりで育った牛は、安心で安全で、しかも味わい深くいただけるのもすっかり納得です。
 
 
 
 
 
 
 
飼料は人間が食べても大丈夫な、 海藻や、もろこし、糖蜜、ビール粕など

飼料は人間が食べても大丈夫な、
海藻や、もろこし、糖蜜、ビール粕など

●“健康な牛”ってなんだろう?
 参加者の間での話は、飼料のことから、牛肉の質に移りました。私たちが店頭で牛肉を購入する際には、サシ(白い脂身の入り具合)が多く、色が明るい赤やピンクで鮮やかなものを好むことがありますが、本物の“健康な牛”はそうではないのだとか…。生産者の方が言われるには、良い飼料で元気よく走りまわって育ち、ビタミンが豊富な牛の肉ほど、赤身は暗い色になるとのこと。また、サシの入りも少なく、身がしまった肉のほうが、本来の牛肉の姿なのだということでした(サシが多い肉は、人で言えばメタボリックだとか)。
 しかしながら私たち消費者が選ぶときには、見た目のイメージで判断することや、食べやすいやわらかい肉を好む傾向があることから、“本当に健康な牛”の肉では市場価値が低くなってしまい、出荷前の牛の状態をわざわざ調整(走り回らせるのをやめ、ビタミンの含有量を減らすなど)しなくてはならないのが残念だとのことでした。
 
 
 
 
 
 
 
健康に育ったビタミンたっぷりの牛肉

健康に育ったビタミンたっぷりの牛肉

●本当にヘルシーでビタミンたっぷりの牛肉
 今回試食会に提供された牛は、そのような出荷用に調整された牛とは別のものでした。次々と焼かれては口へ運ばれていくお肉の流れが一段落すると、生産者を含めた参加者同士で、感想を言い合ったりしながら、いかに「やまゆり牛」の本当の旨味をPRしていくかという話し合いが行われました。「やまゆり牛が地元の人に知られていないので、宣伝をしたらいいと思います。(わいわい市での試食会など)」、「健康でおいしい⇒PRし、理解してもらうためのイベント、ネーミングをつくる。そして流通できるシステムづくり」、「色が違うなど、めずらしい特徴を逆に際立たせてブランド化してPR、“藤沢ビタミン牛”(ビタミンぎゅっ!!)」、「見た目にまどわされない、本質を見抜き、味わう~新時代の牛肉ムーブメント」など、舌もお腹も満足した参加者からは、積極的なアイデアがどんどん出てきます。生産者を交えて意見交換しながら、本当にヘルシーでビタミンも多い牛肉を、地元で理解し消費していくことの重要性を改めて認識させられます。
 
 
 
 
 
 
 
どこで、どう育ち、私たちに届くのか、 それをPRすることがカギかもしれません

どこで、どう育ち、私たちに届くのか、
それをPRすることがカギかもしれません

●見た目にまどわされない、本質を見抜き、味わう
 中でも、試食した牛肉の質の高さから「ブランド化し、普及させたい」という意見が多く出ました。ただ藤沢産だというブランド化ではなく、「どう育ち、なぜこのような味や色をしているのか」ということを同時に伝えていくことが、牛肉に限らず、本当の意味で質の高い食材の普及につながるのではないかという指摘もありました。飼料に使われている「おから」は、市内の豆腐屋から出たものを利用しているらしく、地産地消によって育った牛肉であるという側面から、環境面で二重三重にも貢献できる可能性のある「やまゆり牛」でもあるのです。
 環境問題を考えるにあたって、「食」は身近で重要な要素です。「安心・安全な食材」や「フードマイレージ」という言葉がようやく定着してきた中で、藤沢にもこんなにおいしい牛がいるということがもっと広がれば、湘南の地産地消や人々の健康をより促進させる、新たなムーブメントのきっかけになるかもしれません。